
【海外&日本から学ぶ】リスキリングに取り組む企業の成功事例

2022年10月「リスキリングに5年で1兆円を投じる」と岸田総理が表明したこともあり、リスキリングの関心が高まっています。
リスキリング先進国であるアメリカに加えて、日本ですでにリスキリングに取り組んでいる事例をご紹介します。
成功事例を把握して、あなたの企業の成長へとつなげていきましょう。
なぜアメリカではリスキリングが進んでいるのか?
日本ではまだ馴染みが薄いリスキリングですが、アメリカでは2016年頃からすでに誰もが知っている言葉になりつつあります。
アメリカでリスキリングが盛んな理由は主に2つ挙げられます。
- 技術的失業
- 大退職時代(The Great Resignation)
①技術的失業
技術的失業とは「テクノロジーの導入によりオートメーション化が加速し、人間の雇用が失われる社会問題」のこと。
アメリカではこの技術的失業が深刻な状況に陥っています。
オックスフォード大学のマイケル・オズボーン教授らが2013年に発表した論文では、以下のように唱えられました。
今後10年から20年の間に米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化され消失するリスクが高い
The Future of Employment
また2020年10月に発表された世界経済フォーラムのレポートでも、
今後5年間で、人間・機械・アルゴリズムの労働分担が進むことによって、8500万件の雇用が消失し、9700万件の新たな雇用が創出される
The Future of Jobs Report 2020
と公表されています。
②大退職時代(The Great Resignation)
アメリカだけでなく世界中で、自主的に退職する人口が大幅に増えている「大退職時代(The Great Resignation)」に突入しています。
新型コロナウィルス感染症をきっかけに下記のような人々の価値観の変化が起きました。
- リモートワークの普及により、ワークライフバランスを考慮した働き方の需要が高まる
- 企業から成長機会を与えられている実感が少なく、企業への帰属意識が低くなっている
- アフターコロナの景気回復傾向による雇用増加の影響が転職者にとっては強い追い風に
実際にアメリカでは、2021年11月の月間自主退職者数は過去最高の453万人にも上っています。

【リスキリング先進国から学ぶ】海外の導入事例
ここまで分かるように、深刻な社会問題になっているアメリカでも、リスキリングで成功を収めている企業がいくつかあります。
今回は代表的な3つの企業をピックアップしてご紹介します。
AT&T

AT&Tは2008年に以下の事実を把握しました。
「25万人の従業員のうち、未来の事業に必要なスキルを持つ人は約半数。約10万人は 10年後には存在しないであろうハードウェア関連の仕事のスキルしか持っていない」
上記の課題を解決するために、2013年に「Workforce 2020イニシアティブ」という人材開発プロジェクトをスタートさせました。
10億円をかけて2020年までに10万人のリスキリングを目標に実行した結果、2021年時点でリスキリング実施者は21万人到達しています。
またリスキリングのプログラムに参加する従業員は、そうでない従業員と比べ、以下のような効果が出ています。
- 年度末評価が1.1倍高い
- 1.3倍多く表彰を受賞
- 1.7倍昇進しやすい
- 離職率は1.6倍低い
Walmart

世界的にも珍しいVR(バーチャルリアリティ)を用いた社内研修を実施しました。
VRを活用することによって、
- ブラックフライデー
- 自然災害時のトラブル
年に1度の大規模イベントを擬似体験したり、緊急事態に備えて従業員が経験を積むことが可能に。
VRの擬似体験を通して、実際に接客されているような体験ができ、そこから顧客側の本質的なニーズを理解したり、接客側の問題点を解決していくといった、極めて実践的なトレーニングを実施できるようになりました。
Amazon

Amazonは2019年7月に下記の発表をしました。
2025年までに7億ドルを投じて米アマゾンの従業員10万人をリスキリングする
従業員で割って計算すると、1人当たり投資額は約75万円です。
具体的にはリスキリング施策として、
- 非技術系人材を技術職に移行させる「アマゾン技術アカデミー(Amazon Technical Academy)」
- IT系エンジニアがAI等の高度スキルを獲得するための「機会学習大学(Machine Learning University)」
などのプログラムを掲げ、デジタルスキルの全体的な底上げを目指しています。
【続々と動き出す】日本のリスキリング導入事例
日本はアメリカと比較すると、明らかに”リスキリング後進国”です。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発表した「DX白書」をみると、デジタル化のペースが遅いことが分かります。
DXに取り組んでいる日本企業は69.3%で、アメリカの77.9%に近づいています。

しかし「成果が出ている」と答えた日本企業の割合は58%であり、アメリカの89%と大きな乖離があるのです。

とはいえ、注目度の高まりから大企業を中心に日本でもリスキリングを導入する企業が増えてきています。
そこで今回は、日本企業における代表的なリスキリングの取り組み事例を見ていきましょう。
富士通株式会社
富士通株式会社は、2019年にDXカンパニーへ変革するために従業員13万人を対象にリスキリングを開始しました。
ちなみにリスキリングに関する投資額は、2020年からの5年間で5,000〜6,000億円ほど。
また2021年には、グローバル規模のデジタル人材不足の解消に向けた人材育成プログラム「Global Strategic Partner Academy」をスタートさせています。
株式会社パソナグループ
株式会社パソナグループは、2021年10月に「2024年5月までに従業員3,000名のDX人材の育成を目指す」という目標を掲げて、リスキリングの研修プログラムの拡充をスタートさせました。
具体的にはデジタルスキルを身につける多様な研修を提供する『社内DX推進人財育成プログラム』を実施しています。
『社内DX推進人財育成プログラム』の主な内容は以下のとおり。
- 新入社員デジタル研修
- DX研修入門編
- RPA開発エキスパート
- リスキリングイニシアティブ
また『デジタル・アカデミー社員』と銘打って、IT未経験者を対象に、ITスキルを高める1年間の研修やOJTなどを通じてIT人財を育成するプログラムで300名の募集・採用を実施しています。
ヤフー株式会社
2021年に「2023年度までに全社員約8,000人を対象にAIを業務で活用できること」を目標にリスキリングを導入しました。
同年には、親会社であるZホールディングス株式会社が”文理両軸でAI人材を育成”する「Z AIアカデミア」を発足。

そして驚きなのが、斬新なアイデアや効果が高かった案件を手掛けた社員には最大100万円の支給制度を設けることで士気を高めています。
まとめ
まだまだ認知度が低いリスキリングですが、海外だけではなく日本国内でも成功事例が続々と出てきています。
あなたの企業で従業員が離れていってしまう前に、リスキリングを積極的に導入してみてはいかがでしょうか?
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